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多国籍なソフトウェア開発チームのマネージメントで気をつける4つのこと

ソフトウェア開発の世界では、多国籍チームが一般的になっています。異なるバックグラウンドを持つ人々が協力して働くことで、新しい視点やアイデアが生まれ、革新的なプロダクトが実現可能になります。しかし、多国籍チームを効果的にマネージすることは容易なことではありません。本記事では、私が過去3年間、多国籍チームでソフトウェア開発に携わった経験から、マネージャーとして考慮すべきポイントや対処法を紹介します。


多国籍チームで開発することのメリット

多国籍チームでの開発は、多様な視点と豊かな経験が集まることで、革新的なアイデアやソリューションが生まれやすくなります。異なる文化やバックグラウンドを持つメンバーが協力することで、従来の方法にとらわれない新しいアプローチが生まれ、プロジェクトのクオリティや効率が向上する可能性があります。他にも代表的なメリットとして、

  • グローバル市場に対応するための知識やスキルがチームとして身につく

  • 異文化間コミュニケーションや異なる働き方への適応力が向上する

  • 時差を活用したプロジェクト運営ができる

などが挙げられます。

よく起こる問題と対策



1. コンテキストの違い

多国籍チームでは、文化的背景や経験によってコンテキストの理解に違いが生じることがあります。例えば、日本人はハイコンテキスト文化であり、暗黙の理解や非言語的なコミュニケーションが重要視される一方、多くの外国人はローコンテキスト文化であり、明確で直接的なコミュニケーションが求められます。これにより、誤解やコミュニケーションの齟齬が生じる可能性があります。


  • オンボーディング時はタスクの説明だけでなく、プロジェクト背景や目的、会社の中での立ち位置など、共通の認識を持つことを徹底する。

  • 定期的なチームミーティングや個別のミーティングを通じて、コンテキストの共有を促進し、お互いの誤解を防ぐ。

  • タスクアサイン時の「こんな感じでやっといて」はタブー。


特にタスクアサインなどはプロジェクト運営をしながら温度感を掴んでいく必要がありますが、最初の方はやりすぎくらいがちょうどいいような感覚を持っています。


2. 情報アクセスの格差


多国籍チームでは、メンバーがアクセスできる情報量にばらつきが発生しやすくなります。特に、日系企業でオフショアエンジニアや外国人エンジニアがいる場合には注意が必要です。


  • プロジェクトに関する背景知識や専門用語の理解に差が生じることがあります。例えば、プロジェクトマイルストーンの優先度や目的など、プロジェクト運営の前提知識が十分に共有されていないケースが頻繁に生じます。 →オンボーディング資料は常に更新し、重要な変更がある場合は、新規エンジニアだけでなくチーム全体に再度共有することが重要。

  • 一部のメンバーが対面で情報をやり取りした際に、その内容が他のメンバーと共有されなかったり、日本語でのコミュニケーションが英語に翻訳されずに共有されないことがあります。 →日本語でコミュニケーションを行う場合は、情報がチーム全体に共有されているかどうかを意識することが必要。


プロジェクトに関わる情報は一箇所に集約し、参照コストを下げることが望ましいです。また、情報の更新があるたびにステークホルダーに連絡する運用がおすすめです。これにより、多国籍チーム内での情報格差を解消し、円滑なコミュニケーションを実現することができます。


3. 言語の壁


多国籍チームでは、メンバーの言語能力やコミュニケーションスタイルの違いから、コミュニケーションレベルに格差が生じることがあります。これにより、情報の伝達がスムーズでなくなり、チームの開発効率が低下することがあります。個人の英語力に応じて必要な対応は変わってきますが、チームとしては一定コミュニケーション品質を品質を補償したほうがいいと思います。

  • GrammarlyDeepLなどのツールをチーム全体で導入することでテキストコミュニケーションのコストを下げる

  • 会議などの会話で話した内容は後からテキストで再確認するプロセスをチーム内で徹底する

英語力に不安があるメンバーが複雑なコミュニケーションをする会議に参加する場合は私も会議に参加している場合もありましたが、本人の英語力改善とプロジェクト運営コストのトレードオフになるので、進め方はステークホルダーで話し合って決めるのがいいかと思います。


4. ドキュメントの言語管理


多国籍チームでは、プロジェクトドキュメントが複数の言語で作成されることがあります。これにより、情報のアクセスや理解に時間がかかり、効率の低下や誤解が生じる可能性があります。これは正直避けられない問題ですが、非共通言語でのやり取りは後で必ず共通言語に変換するなどの対策が必要です。

  • チーム内で共通の言語を使用することが重要で、必要に応じて翻訳ツールや専門の翻訳者を活用する。

  • ドキュメントの管理方法や命名規則を明確にし、メンバーが迅速に必要な情報にアクセスできるようにする。


まとめ


本記事では、多国籍チームでのソフトウェア開発がもたらす革新的な可能性やチームの成長を紹介し、一方でよく起こる問題とその対策を具体的に解説してきました。マネージャーとして、これらのポイントを把握し、適切な対処法を実践することで、多国籍チームの力を最大限に引き出し、グローバルな環境で戦っていきましょう。

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